AI知識

AIの仕組みをわかりやすく解説!
初心者から理解できるAIの基礎から応用まで

AIは現在、世の中に不可欠な技術の1つとなっています。
日常生活、ビジネス、ヘルスケアアプリなど様々な形で社会に貢献し発展し続けています。

この記事では今さら聞けないAIの基本的な仕組み、歴史、機械学習とディープラーニングの違いを紹介し、いくつか活用例も挙げてみます。
最後にはAIの長所と短所、将来の社会への影響・将来についても少し考えてみましょう。

AIの基礎を知りたい、AIの話題についていきたい、子供にAIの事を聞かれても初歩くらいは解説できるようになりたい方への記事です。ぜひ最後までご覧いただければ幸いです。

人工知能(AI)とは、機械やコンピュータが人間の知能を模倣する技術を指します。
しかしながら明確な定義は未だありません。
AIの専門家・研究家たちはそれぞれの定義づけを展開していて統一されていないのです。
これは各専門家の認識・解釈が少しずつ異なっていること、AI技術は進歩を続けており可能性は未知数なことが統一しきれない理由とされています。

AIはすでに私たちが日常的に使用している技術の一部であり、スマートフォンの音声アシスタントや自動運転車などを通じて、生活に自然と溶け込んでいます。

AIは基本的な仕組みとして「データの入力」、「処理・学習」、「出力」という3つステップを経て動作します。

この3つステップは、AIが新しい情報をどのように理解し、どのように判断や予測を行うかを説明するために重要です。各ステップでどのような事をしているか少し詳しく見てみましょう。

STEP1:データの入力

AIは、大量のデータによって成り立っています。
データはテキスト・画像・音声・動画など様々な形式が存在しています。

画像認識AIの場合は数百万枚の画像を使って訓練され、データ群を学習します。
そのためデータの入力がAIは物事を理解し識別するための第一歩となります。

STEP2:処理・学習

AIは提供されたデータを処理し、パターンや規則を見つけ出し学習します。
その学習した内容を新しいデータに適用することで予測や判断をしています。
このステップで使用される主な技術は、「機械学習」「ディープラーニング」です。

画像認識AIの場合は、猫の画像を多く見ることで「猫」の規則性を学びます。
次に新しい画像を提示されたときには、学習した内容からその画像が「猫」かどうかを判断できるようになっています。

STEP3:結果の出力

最後のステップは出力です。
AIは学習した規則に基づいて新しいデータを処理し、その結果を出力します。

AIが画像を分析し、「この画像には猫が含まれています」と判断したり、
音声アシスタントが「今日の天気は晴れです」と答えたりするのは、この段階です。
正確な結果を出力するためには、十分な量のデータと、それを正確に処理する手順や計算方法・思考方法(=アルゴリズム)が必要です。

TIPS:AIを最初に考えたのはどんな人?いつ頃から研究されているの?

どんな人がAIを考え始めたの?どれくらい前からAIの研究はされているの?

AIの概念を最初に提唱したのは、
イギリスの数学者で暗号解読の専門家でもあったアラン・チューリング氏です。

1940~1950年代にかけて、「機械は思考できるか?」と問い、
1950年には「チューリングテスト」を考案しました。これが現代のAI研究の基礎になったとされています。

AIは、1950年代から現在に至るまで数多くの発展を遂げています。
その進化の過程には、成功と失敗が混在し技術の飛躍的な進歩が見られる一方、実は予想外の挫折も経験してきているのです。
AIの歴史的な流れとその中の重要なターニングポイントを見ていきましょう。

AIの黎明期(1950年代~1970年代)

AIの発展は1956年、アメリカで開催された「ダートマス会議」にまで遡ります。
この会議で、「人工知能」という言葉が初めて使われたのでした。
研究者たちは、機械が人間のように考え、学ぶことができるAIに大きな期待を抱きます。
当時のAIはプログラマが決めた規則に従い、動作するルールベースのシステムを使用したものでした。

このルールベースのシステムは、特定のタスクにおいては非常に有効です。
想像しやすいのがチェスなどをボードゲームをプレイするAIです。
事前にチェスの全てのルールをプログラムされ、それに基づいてゲームを進行するという処理は十分な結果を出すことが出来ていました。

しかしこれでは柔軟性や自律性に欠けています。
これが限界となり、AIの研究は徐々に停滞するようになります。
1970年代には、AI技術への期待が高まりすぎた結果、資金提供が大きく減少します。
「AIの冬」と呼ばれる停滞期が訪れてしまったのです。

ニューラルネットワークの登場(1980年代)

1980年代に入り、AIは新たなブレイクスルーを迎えます。それが、「ニューラルネットワーク」技術です。ニューラルネットワークは、人間の脳神経細胞を模倣したアルゴリズムです。
複雑なデータを処理し、より柔軟な判断ができるように設計・開発されています。

これによりAIが単に決められたルールに従うのではなく、
従来の処理ではなく自ら学習して改善していくことを可能にしました。
ニューラルネットワークは音声認識や画像認識など、複雑な情報処理ができるようになったのです。

AIの冬から復活へ(1990年代~2000年代)

1990年代に入り、AIの発展は一時的に停滞していたものの、
1997年にはIBMのAI「ディープブルー」がチェスの世界チャンピオンであるガルリ・カスパロフに勝利するという快挙を果たします。

これによりAIが再び注目を集めますが、
この時代のAI技術の限界もあり、依然としてAIの発展は緩やかで目覚ましい変化はありませんでした。

ディープラーニングの台頭(2010年代~現在)

AIが本格的に進化を遂げたのは、2010年代以降。
この時期、AI技術の中でも特に注目されたのが「ディープラーニング」という技術です。
深層学習とも呼ばれています。

ディープラーニングは従来のニューラルネットワークを多層化したものであり、より多くのデータを効率的に処理し、複雑なタスクに対応できるようになりました。

特に、画像認識・音声認識・自然言語処理といった分野でその効果が顕著に現れています。

2016年には、GoogleのAI「AlphaGo」が囲碁の世界チャンピオンに勝利。
囲碁はチェスに比べて非常に複雑なゲームですので、この勝利はAI技術の飛躍的な進歩を示す大きな出来事となりました。
以降現在に至るまで、AI技術は急速に発展を続け、ビジネス・日常生活と共に欠かせない存在へと進化しました。

AIがどのようにして新しい情報を学び、判断や予測を行うかは、AIの技術の核となる部分です。
次はAIの学習プロセスに関わる2つの核である「機械学習」「ディープラーニング」を学びましょう。

機械学習とは何か?

機械学習はAIが過去のデータを基に学習します。その知識をもって新しいデータに対し予測や判断などの処理を行う技術です。

例としては電子メールのスパムフィルターが想像しやすいかと思います。
過去に受信したスパムメールの特徴を学習することで、次に新しく届いたメールがスパムかどうかを判断しています。そういった機械学習の中にもいくつか種類が存在します。

1. 教師あり学習

大量のデータとそれに呼応する正解をAIに与えて学習させる方法です。
具体的には、画像に「猫」や「犬」とラベル付けをした上でAIに与え、学習させます。
そうすることで次の新しい画像が与えられた際に、AIは正しく「猫」や「犬」を識別できるようになります。

2. 教師なし学習

データに正解がない場合、AIは自らデータのパターンや関係性を見つけ出します。
クラスタリングやアソシエーション分析などがこのタイプに該当します。

例としては、オンラインショッピングのレコメンド機能です。
ユーザーの購入履歴を基に、他のユーザーの類似した行動パターンや関係性を見つけ出し、
それに該当する商品をオススメとしてピックアップしています。

3. 強化学習

強化学習はAIが与えられたデータを手掛かりに試行錯誤を繰り返して学習する方法です。
行動の結果として報酬(=スコア)が与えられ、AIは最も高い報酬を得る行動を選択するように進化していきます。ゲーム操作やパズル、ロボットの歩行やアームの制御、自動運転などで活用されています。

教師なし学習と似ているように見えますが、
・教師なし学習=答えがある
・強化学習=答えがなく、長期的に良い結果や得点が取れるように模索し続け学習する
といった特徴があります。混同しないように注意しましょう。

うーん、いまいちイメージしにくい・・

各項での例を使って考えてみましょう。

「教師なし学習」のオンラインショッピングのレコメンド機能の場合は、
AIはユーザーの行動という情報が与えられます。
そこからパターンや関係性を見つけ出します。

その見つけたパターンや関係性にぴったり合う商品(=答え)を出す。
といった流れです。

「強化学習」の場合は、ゲームの操作がイメージしやすいと思います。
テトリスやぷよぷよ、将棋・囲碁でも構いません。
ゲーム内でのとある状況があったとします。

その状況下でどんな手を打つのが高得点(=良い結果)になるのかを模索し続けるという学習とイメージしてください。

とある状況とは言いましたが、ゲーム内での「状況」は無数にありますし、
打てる手も無数にあります。そしてその後もゲームは展開していきます。
さらなる無数の「状況」がどんどん広がっているのです。

その膨大な状況の連続で高得点の獲り方を模索し学習するのが「強化学習」です。

ディープラーニングとは何か?

ディープラーニングは、機械学習の一部であり、特に「ニューラルネットワーク」を多層に構築したものを指しています。
ニューラルネットワークは、人間の脳の神経細胞(ニューロン)の構造を模倣したモデルです。
データの入力・処理・出力のプロセスを複数の層で行います。

ディープラーニングは、この層を多くすることで複雑な問題を解決できるように進化しました。

様々な分野で活用されていますが、身近なところですと「画像認識」です。
従来の機械学習モデルでは解決できなかった細かなパターン認識が劇的に改善されました。
これにより、AIは顔認識や物体検出、手書き文字認識など、非常に高い精度で情報処理ができるようになったのです。

ディープラーニングの仕組み

AI技術を押し上げたディープラーニングの仕組みをもう少し詳しく見てみましょう。

1. 入力層

画像や音声データなどAIが処理するデータがここで入力されます。
例えば画像認識AIの場合、入力されるデータはピクセル単位での情報です。

2. 隠れ層

この層がディープラーニングの核となる部分です。
隠れ層ではデータが複数の層を通じて処理され、それぞれの層で異なる特徴やパターンを捉えるように調整されます。
初期層ではシンプルな特徴(エッジや色)を認識します。後の層に進むにつれて複雑なパターン(形状や物体)を理解し処理・学習していきます。

3. 出力層

隠れ層で処理された情報が集約され、AIが結果を出力します。
画像認識AIが「これは猫です」と判断する最後のステップがこの層で行われます。

ディープラーニングの応用例

ディープラーニングは特に以下の分野で革新的な技術として活用されています。

・画像認識
Google Photosの顔認識やFacebookの自動タグ付け機能などがディープラーニングを活用しています。

・自然言語処理(NLP)
ディープラーニングにより、AIが言語を理解しテキスト生成や翻訳を高精度に行えるようになりました。ChatGPTのような大規模言語モデルもディープラーニングの応用です。

・音声認識
SiriやAlexaなどの音声アシスタントもディープラーニングを活用しています。
音声を高い精度で認識し、ユーザーの命令を理解し動作することができます。

ディープラーニングは上記に限らずたくさんの分野で使用されています。
現在のAIを話す上では切っても切り離せないものとなりました。

機械学習とディープラーニングの違い

機械学習とディープラーニングは、どちらもAIがデータを基に学習する技術ですが、アプローチに違いがあります。

機械学習
シンプルなアルゴリズムを使い、少量のデータで学習することができますが、データの特徴抽出には人間が関与することが多い手法です。つまり、何を学ばせるべきかを人間が決める必要があります。

ディープラーニング
データから特徴を自動的に抽出するため、人間の関与が少なくてもより精密な学習が可能です。
特に大規模なデータセットに対して強力で、複雑な問題を自律的に解決しますが、
計算資源を多く消費し学習には時間がかかることがデメリットです。

AIの活用範囲は広がり続けており、私たちの生活のあらゆる場面にAIが取り入れられています。
ここでは具体的な事例を日常生活とビジネスの両面から見ていきましょう。

日常生活におけるAIの活用

すでに日常生活の中に普及しているAI技術ですが、どのような働きをしているのか見てみましょう。

1. 音声アシスタント
SiriやGoogle Assistantのような音声アシスタントは、AIの典型的な応用例です。
音声を通じて天気予報を確認したり、アラームを設定したり、日常的なタスクを実行できます。
これらは自然言語処理技術(NLP)によって、ユーザーの意図を理解、適切な返答やアクションを実行しているのです。

2. スマートホームデバイス
スマートホームデバイスは、生活をより快適にしています。
例えばAIが搭載されたスマートスピーカーは声の指示に応じて音楽を再生したり、照明を調整したりします。また、Nestのようなスマートサーモスタットは居住者の生活パターンを学習し、自動的に最適な温度を設定しています。

3. オンラインショッピングのレコメンドシステム
AmazonやNetflixなどの大手プラットフォームは、AIによるレコメンドエンジンを利用して、
個々のユーザーに最適な商品やコンテンツを表示させています。
AIにより過去の購入履歴や視聴履歴を分析、ユーザーの好みに基づいた提案を行うものです。

4. 写真や動画の認識技術
Google PhotosやFacebookの顔認識機能もAIの一例です。
写真内の人物を認識し、自動的にタグを付けたり、特定の人に関する写真を検索したりします。
ディープラーニング技術を応用したもので、膨大な数の画像を解析し、顔の特徴を学習することで高度な処理ができるようになりました。

5. 自動運転技術
自動車業界もAIが急速に取り入れられており、特に自動運転技術が注目されています。
TeslaやWaymoが開発している自動運転技術は、センサーやカメラを使って周囲の状況をリアルタイムで分析し、運転操作を行います。
AIが交通状況や障害物を即座に判断し、事故を未然に防いでいます。

ビジネスにおけるAIの応用

次はビジネスにおいて普及しているAI技術をいくつか例を挙げて紹介します。

1. カスタマーサポートの自動化 
企業のカスタマーサポート部門ではAIチャットボットが多く採用されています。
AIがユーザーの質問に対して自動で答えを出力し、必要な情報を提供できるようになったことで24時間体制での顧客対応が実現しました。
顧客満足度を向上させると共に、サポート業務の効率も大幅に改善されています。

2. ビッグデータの分析
AIは膨大な量のデータを短時間で解析する能力を持っています。
ビジネスではこの技術を活用して、マーケティングや販売戦略をより効率的に行うことができます。
例えば、過去の顧客行動データを基に将来のトレンドの予測や効率的なキャンペーンの策定などが可能です。

3. フィンテック
金融業界では、AIが取引のリスク評価や不正検出に活用されています。
クレジットカード会社はAIを使って不正な取引をリアルタイムで検出し、リスクを未然に防いでいます。
また、AIは株価の予測や自動売買システムにも使用されています。投資家は市場の変動に即応した取引を行えるようになりました。

4. 医療分野での画像認識技術
AIは医療分野でも革新をもたらしています。
特に画像認識技術はX線画像やMRIスキャンの解析に活用され、医師よりも早く病気を検知します。
これにより、がんの早期発見や治療計画の策定がスムーズになり、患者の生存率向上に寄与しています。

5. 自動化による生産性向上
製造業では、AIを使って生産ラインの自動化が進んでいます。
AIは異常をリアルタイムで検知し、必要な調整を即座に行うことで、ダウンタイムの削減や製品品質の向上に貢献しています。
またAIでロボットを制御し、複雑な組み立て作業の自動化も可能です。

AIには多くのメリットがありますが、同時に課題やリスクも抱えています。
これからの社会でAIを上手く活用するためには、メリットと一緒に出デメリットやリスクをしっかりと理解し、対策を講じることが重要です。

AIのメリット

1. 作業の効率化
AIを導入する最大のメリットは、作業の効率化です。人間が行っていた単純作業をAIが代行し自動化。
そうして生産性を大きく向上させることができます。
製造業における「AIロボットの導入による24時間の生産ライン稼働」が代表的です。

2. データ解析能力の向上
AIは膨大なデータをリアルタイムで解析し、その結果に基づいて迅速な意思決定を支援できます。
金融市場の予測やマーケティング戦略の立案、顧客行動の分析など、AIによるデータ解析はあらゆる分野で重要な役割を果たしているのです。

3. 人間の限界を超えた精度と速度
AIは膨大な情報を短時間で処理する能力に優れており、人間が不可能なタスク遂行が可能です。
医療分野においては「AIの画像解析によって患者の異常を素早くかつ高精度で発見」することで人間よりも優れた能力を発揮しています。

AIのデメリット

1. 仕事の自動化による雇用問題
AIによる自動化の進展に伴い、多くの仕事がAIに置き換えられるリスクがあります。
製造業や物流業界では、AIによるロボットの導入により人間が行っていた作業が自動化されています。

自動化の影響で一部の労働者が仕事を失う可能性が示唆されています。
社会全体での職業訓練や再教育(リスキリング)が必要だと国会でも議論されています。

2. 倫理的課題
AIは大量のデータを使用し学習するため、データのプライバシー保護や倫理的な問題が重要な課題です。
AIが収集したデータがどのように使用され、管理されるかは、利用者のプライバシーを守るために適切なガイドラインが必要です。
また、AIによる判断が倫理的に正しいかどうかを検証する仕組みも求められています。

3. AIのブラックボックス問題
ディープラーニングのように高度なAIシステムは判断プロセスが「ブラックボックス化」しやすく、
なぜその結果が出力されたのか理解しにくいという課題があります。
例えば、AIが医療診断である結論を出力したときに、その理由を医師が理解し説明できなければ、信頼性の欠ける内容となってしまいます。

これに対しては、AIの判断プロセスを透明化する「Explainable AI(説明可能なAI)」の技術が進展しており、今後のブラックボックス問題の解決につながるのではないかと期待が寄せられています。

AIは私たちの日常生活からビジネス、医療、製造業など、さまざまな分野で大きな変革をもたらしています。その仕組みを十分に理解することで私たちはAIをより効果的に活用し、未来に向けた新たな可能性を見出すことができます。

AIの進化はまだ始まったばかりです。私たちの生活やビジネスに多大な影響を与えるでしょう。
筆者は「AIを賢く活用すること」それが今後の社会においてより重要なスキルになると感じています。

まず第一歩はAIを面白がること、興味を持つことが大事です。
AIに関する技術や話題をたくさん目にして学び、活用していくことで私たちはより便利で豊かな生活を手に入れることができるでしょう。

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