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ChatGPTの新機能「Canvas」のできること5選|AIと”一緒に”作業ができる環境へ

2024年10月にChatGPT の新機能「Canvas」が追加されました。
3か月前に「高度なボイスモード」が導入されたばかりと思っていましたが、さらなる新機能の登場です。
「また新機能?全然追いつけてない…」
「具体的には何ができるようになったの?」
「そもそも何がそんなに話題なの?」
「どんな人におすすめな機能なの?」
矢継ぎ早の新機能の公開にこんな悩みや疑問を感じていませんか?この記事ではそんな悩みや疑問を解消するため、公開から1週間の間にCanvasを触り倒しましたので、私なりのレビューも交えて解説します。

結論、文章作成に関して追加された機能が優秀で、文章を取り扱うことが多い人には特におすすめできる内容でした。
追加された新機能は簡単に使えるものばかりで、生成物に対してChatGPTと相談しながら一緒に作業を進めているような印象を受けました。
「AI共同作業ツール」と表現する方がいらっしゃるのも納得できます。

現在、無料プランではChatGPT Canvasは使えません。
私個人は有料プランで利用していますが、アップグレードしてて良かったなと感じてます。
プランのアップグレードを検討している方、文章作成・コード作成の作業の効率化の方法で悩んでいる方はこの記事を読んで参考にしていただければ幸いです。ぜひ最後までお読みください。

簡潔にいうとChatGPT Canvasは生成物を直接編集・修正できる便利機能付きワークスペースです。

「それだけなら同時にGoogleドキュメントやメモ帳アプリを開けばいいのでは?」という方もいらっしゃると思います。しかし、新しくできた便利機能が多くのユーザーに刺さり話題となっていますので、ご紹介させてください。

1.チャットとエディタの2画面展開

CanvasではChatGPTとのチャット画面が左側、生成物が右側のテキストエディタ画面に展開されます。

Canvas以前のモデルはChatGPTからの前置きや生成物が長文になるとき画面スクロールを行ったり来たりしていたのですが、これが解消されることになりしました。
触り倒している私としては、格段に見やすくなって、ストレスフリーになったと実感しています。
特にChatGPTとのやりとりが長くなるほどこの仕様が効いてきますね。

2.直接入力での編集

生成された文章やコードをWordやメモ帳のように直接入力して編集が可能になりました。
こちらも地味ではありますが、私としては今回追加された中で1番の”神”機能だと思います。
上図では改行がなく、読みにくかった箇所を修正したり、語尾を変えて1文に区切ったりしてます。
生成内容に関係ない文章も入力可能です。

今までは、少し修正したい箇所があった場合は別ツールのエディタ等に一度ペーストして修正する事が多いかと思います。続けてChatGPTとのやりとりをする場合は、ChatGPT上には修正前の内容でしかありませんので、修正前のまま進行し、ユーザーが「ここは修正したな」と意識し続けなくてはなりません。

この別ツールでの修正は人的ミスの温床になっていると確信しています。
なぜなら私自身も過去にこれで大失敗した経験があります。

直接入力ができるようになったことで、ChatGPTに修正内容が存在しているので、続けてやりとりをしても齟齬なく続きの生成ができますし、「修正箇所を意識し続ける」というユーザーの負担が無くなります。

「文章生成系AIの欠点であるハルシネーション(もっともらしい嘘)の修正を人間の手ですぐにできる」
「別ツールを使用しての修正をしなくて済む」
この2点により、大幅な効率UPが見込めるでしょう。

3.ピンポイントの再生成指示

テキストエディタに表示された生成物の修正したい箇所を選択して指示を出すとその部分だけ再生成ができるようになりました。
専門用語をわかりやすく変換するときや、言い回しを変えたいときにはとても便利ですね。
変更箇所の確認は右上時計マークをクリックすると変更前後の比較も可能です。

4.バージョン管理・戻る / 進むボタンの実装

再生成した内容から元に戻したい場合は、右上に「戻る」ボタンと「進む」ボタンが設けられています。
簡単に生成前後の比較ができ、文章やコードの推敲が可能となりました。

5.各種ショートカット機能

エディタの右下のアイコンにカーソルを合わせると、各種ショートカットが表示されます。
文章生成時とコード生成時で機能が異なりますので、以下にまとめてみました。

文章生成時のショートカット

  • 編集内容の提案
    編集箇所にハイライトがつき、コメント入りで改善案を提案。
  • 文章の長さ調整
    増減バーが表示され、1目盛り約25%文章量の増減を指示可能。
  • 読解レベル調整
    文章をターゲットごとの表現に変更。幼稚園児~大学院生までの読解レベルで設定可能。
  • 最終仕上げ
    タイトルの設定、文章の区切りで見出しの作成。文章の統一性なども見直して編集。
  • 絵文字の追加
    単語の直後や文章の区切り、見出しなどに絵文字を挿入。

コード生成時のショートカット

  • コードレビュー
    編集箇所にハイライトがつき、コメント入りで改善案を提案。
  • 言語に移植する
    Java / TypeScript / JavaScript / Python / C++ / PHPが選択でき、指定の言語にコードを変換。
  • バグを修正する
    コードを検証し、バグの検出と修正を実施。
  • ログを追加する
    ログを追加して、デバッグやコードの読解性を向上。
  • コメントを追加
    生成したコードを説明するコメントを追加。

文章生成、コード生成ともに校正やバグチェックなどの仕上げや見直しに重きを置いた機能です。
Canvas実装以前でも仕上げや見直しには活用できましたが、より簡易にプロンプト無しでできるというのはかなり魅力的だと思います。今後、多くのユーザーが活用するのではないでしょうか。

新機能「Canvas」は使い方も簡単です。下記の条件が揃っていればすぐにでも使い始められます。

  1. 有料プラン「ChatGPT Plus」へのアップグレード
  2. 画面左上で選択できるChatGPTのモデルの中から「ChatGPT-4o with canvas」を選択
  3. 特定のキーワードを含むプロンプトの入力で起動
    キーワード例:~の文章を作成して / ~のコードを書いて / Writing Canvasを開いて / Coding Canvasを開いて

有料プランへのアップグレードは障害ではありますが、難解な設定や手順はなくほぼいつも通りの使い方です。モバイル版のアプリでは閲覧や共有は可能ですが、編集はできません。

Canvasの使い勝手の良さをご紹介してきましたが、全てにおいて”神”機能というわけではありません。
メリットとデメリットを比較してみましょう。

メリット

各できるようになったことで少し触れてはいますが、メリットをまとめてみましょう。

操作性の向上

チャットとエディタの2画面展開や直接入力での修正、戻る/進むボタンの機能など直感的な操作性が向上しました。

多彩なショートカット機能による効率化

文章用のショートカット機能

  • 編集内容の提案
  • 文章量調整
  • 読解力調整
  • 仕上げ処理

コード用のショートカット機能

  • バグの検出と修正
  • 改善案の提示
  • 読解性の向上
  • 言語変換

上記の便利機能がほぼワンタッチのショートカット機能で使えるようになりました。さらなる作業の効率化が期待できるでしょう。

リアルタイム共同編集

複数人での使用が前提の企業向けプランChatGPT Teams以上だけの機能ですが、リアルタイムで共同編集も可能です。
同時に作業できるのはショートカット機能と同様に作業の効率化に直結します。

デメリット

ここまで良いことばかりでご紹介してきましたが、デメリットも存在しています。

挙動の不安定さ

現在はベータ版ということも関係し、挙動が不安定です。
私自身も使用中に生成が中断されることが数回発生しました。SNS上でも同様の投稿が見受けられます。

生成物のプレビューはできない

HTMLやPythonなど各種言語でコード生成はできますが、コード実行のプレビュー機能はなく、チェックしたい場合は別環境が必要になる点はとても不便です。
コーディングをする人たちにとってはかなり引っかかるポイントですね。

有料プランでしか利用できない

現在は有料プランのユーザーしか利用できません。
ベータ版が終了した後に、無料プランでも利用できるようになるとされていますが、いつになるかは明言されていない状況です。
ライトユーザーにとっては毎月$20の料金(=1ドル150円換算で3000円)がかかるのはデメリットと言えるでしょう。

ChatGPTの新機能「Canvas」のできることやメリット・デメリットについて紹介しました。

生成物のプレビューができないなど、もう一歩が届かない感が否めないのは事実です。
基となるモデルの性能が向上したというわけではありませんので、生成した文章は「なんかAIっぽいな」と感じます。

AIがもっともらしい嘘の内容を出力するハルシネーションへの対策は「直接入力での編集」のおかげで容易になりましたが、ハルシネーション自体は依然として発生します。

生成内容の事実確認やどんなことがAIが適しているのかはユーザーがしっかり考えて活用する事が大切なのはこれまでと変わりません。

しかし、Canvasは特に生成物の編集・修正において非常に直感的で使いやすい追加機能なのは間違いありません。多くの有料プランユーザーにとってはうれしいアップデートだったのではないでしょうか。

文章作成を目的にChatGPTを使っているユーザーは活用すべき機能だと思います。
モデルの性能はそのままに一部の利便性の向上に留まったという印象ですが、Canvasの持つ「ChatGPTと一緒に制作する」というスタンスは今までにないものでした。ぜひ体験してみてはいかがでしょうか?

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